ハリアナ写真の「コントラストと感光体」


ハリアナ写真の感光媒体としては、フィルム、印画紙、ポラロイドなどが挙げられますが、さらにポジフィルムかネガフィルムか、カラーかモノクロか、高感度か低感度かなど実際に選ぶとなるとかなり選択肢があります。厳密なことを言えば、同じようなネガフィルムにしても各メーカーの製品によってその特性は微妙に違います。もちろん自分の好みに応じて使えば良いのですが、なかなか全ての感光体を試すわけにもいかず迷う方も多いと思います。大まかな特徴を考えてみましょう。

ラチチュード

これは表現できる明暗の差で、人間の目で判断できる明暗の差に比べると、フィルム(印画紙)のその幅は非常に狭い。モノクロが最も広く、ネガカラー、ポジフィルム(カラー)の順でポジフィルム(カラー)は印画紙とほとんど同じくらいである。また、ラチチュードは高感度フィルムになるほど狭くなる。

コントラスト

ラチチュードと光量の関係で、画質が硬調や軟調になることがある。硬調とはコントラストの強いもの、軟調は弱いものをさす。

光量が多い場合(快晴)、明暗の差が大きくラチチュードの大きいモノクロフィルムでもカバーできない。どこにに露光を合わせて撮影するかにより違いが出てくる。例えば、快晴の日に明暗の中央値に露出を合わせた場合、ある程度以上の明るさを持ったところは白く飛んでしまい、ある程度以下の明るさの部分は黒く潰れてしまいます。雲が白くなりすぎ写らなかったり、日陰の部分が黒くなってしまったりします。自分で現像をされている方は、プリントする段階で覆い焼き等のテクニックを使うことにより調整は可能である。


印画紙使用の場合

感度が低い(ISO 5 程度)ため露光時間が長くなる(ISO100のフィルムの約20倍)。

印画紙の種類も細かく分かれて(紙の厚さ、表面の状態、号数等)いて、初めて購入する方はどれを購入すれば良いか迷われると思いますが、最も重要なのは「号数」です。マルチグレードと1〜5号(通常は2〜4号までしか置いてない)までありますが、マルチグレードはフィルターを使用して印画紙の調子(硬調・軟調)を変えることができますが、針穴写真の感光体としては、より小さな号数(軟調)の印画紙(2号でも可)を使用します。

ラチチュードが狭いため硬調になりやすい。晴天の日、直射日光が当たっている部分と影の部分とでは、明暗に大きな差があるので、豊かなグラデーションを得るのは不向きであるが、晴天の日の影にある被写体や曇天の日であれば、ある程度のグラデーションが得られる。また、被写体が小さい場合は、直射日光をさえぎる工夫をすることも可能である。もっとも、硬調な表現をしようとするのであれば問題ない。

使いやすいもの:大きさはキャビネ版、号数は入手しやすい2号印画紙のポリエチレンコート紙(WP)


フィルム使用の場合

目的により感度を選ぶことができる。ISO50〜400程度のものが良く使用されている。印画紙に比べると感度が高く、何種類かのフィルムを使い分けることで露光時間の調整が可能である。例えば、ISO100で20秒の露光が必要な場合、ISO50であれば40秒となり、ISO400であれば5秒程度の露光時間となる。これにより、動きのある被写体をどのように画像に残すか(あるいは残さないか)を選択できる。

モノクロやネガカラーはラチチュードも広く、滑らかなグラデーションを表現することができるが、ポジフィルムは発色には優れているがラチチュードが狭いため、撮影の目的や光量などを考慮し露出をどの明るさに合わせるかを検討する必要がある。

使いやすいもの:35mmフィルムはISO100、ブローニーフィルムISO100とISO400



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