ハリアナ写真の「露出」
カメラのレンズには、その明るさを表すのに「f値」という値が用いられています。このf値はレンズの絞りを開放にしたときの値です。
f値=(焦点距離)/(絞りの直径) で決められています。
ピンホールカメラのf値も同様にして求めます。
例えば、焦点距離60mm、孔径0.3mmの場合、
60/0.3=200 f値=200となります。
「絞り」
f値は大きくなると、絞りが小さくなり中に入る光束の断面積が小さくくなります。
絞りは1段絞る(f値を1つ大きくする)と中に入る光束の断面積は半分になります。
2 |
2.8 |
4 |
5.6 |
8 |
11 |
16 |
22 |
32 |
f=2 を f=2.8 にすると、中に入る光束の断面積になる。
f=2.8 を f=4 にしても、中に入る光束の断面積になる。
f=8 を f=11 にしても、中に入る光束の断面積になる。
このように作られています。
このf値の値が半端な数値なのですが、これは、光束の断面積は孔径の2乗に比例し、f値は孔径に反比例することから、光束の断面積を1/2にすると、f値は√2倍になるためです。
「シャッタースピード」
1/8秒 |
1/16秒 |
1/30秒 |
1/60秒 |
1/125秒 |
1/250秒 |
のように、1段階が約1/2倍になっています。
「露光」
感光体が受ける光の量は、絞りとシャッタースピードにより決まります。
例えば、f=8で1/125秒で適正露出の場合
絞りを f=5.6(f=8の2倍)にしたいときは、1/250秒(1/125秒の半分)でシャッターを切れば同じ光の量になります。
f=4で1/500秒 や f=16で1/60秒 でも、感光体が受ける光の量は同じ量です。
それでは、ハリアナ写真を撮影する場合、露光時間はどのようにして決めるかということを考えてみたいと思います。
まず、ハリアナカメラのf値はどのくらいなのかを見てみます。
フィルムサイズ |
焦点距離[mm] |
最適孔径[mm] |
画角[度] |
f値 |
|
ブローニー(6×7cm) |
30 |
0.193 |
111 |
155 |
広角側 |
|
60 |
0.273 |
72 |
220 |
標準 |
|
120 |
0.387 |
40 |
310 |
望遠側 |
|
|
|
|
|
|
35mmフィルム |
15 |
0.137 |
111 |
109 |
広角側 |
|
30 |
0.193 |
72 |
155 |
標準 |
|
60 |
0.273 |
40 |
220 |
望遠側 |
ブローニーサイズ、35mmサイズとも広角・望遠のほぼ最大幅でf値が2倍(2絞り分)になっています。標準(中央値)からはプラスマイナス1絞り分ということになります。
フィルムの箱に、露光の目安が書かれています。
ISO100のフィルム 1/250秒で、快晴 f=16、晴れ f=8、曇(日陰)f=4 となっています。
f=180(35mmフィルム)は、f=16を7段階絞った値(2の7乗分の1:1/128)、シャッタースピードは128倍にすればよいことになります。1/250秒の128倍は約1/2秒となります。
f=256(ブローニーサイズ)は、f=16を8段階絞った値(2の8乗分の1:1/256)、シャッタースピードは256倍にすればよいことになります。1/250秒の128倍は約1秒となります。
計算上はこのようになりますが、私の経験上この値は小さいと思います。私の場合、更に1絞りないし2絞り分多く露光しています。
35mmフィルム :8〜9絞り分(シャッター速度250〜500倍)
快晴 1〜2秒、晴れ 4〜 8秒、曇(日陰)15〜30秒
ブローニーサイズ:9〜10絞り分(シャッター速度500〜1000倍)
快晴 2〜4秒、晴れ 8〜16秒、曇(日陰)30〜60秒
上記の露光時間は、使用フィルムの感度がISO100の場合で、ISO400のフィルムを使用する場合は、露光時間は1/4になります。
ISO100のフィルムで、晴れ 8秒で適正露出の場合、ISO400のフィルムであれば2秒ということになります。