それぞれの選択/現代写真術の競作

21世紀の今日、写真はデジタルの時代を迎えさまざまな表現技法をもちました。このたび、日頃から写真をこよなく愛す4人が集い、「それぞれの選択/現代写真術の競作」と題して写真展を開催することになりました。
徹底的にアナログにこだわった神原武昌さんと中島正己さん、最新のデジタル機器を駆使した小野隆彦さん、アナログとデジタルのハイブリッドに新しい表現を求めた市川泰憲さん、それぞれの撮影機材・プリント方式に、それぞれ日頃のテーマでまとめ上げられました。

タイトル 「それぞれの選択/現代写真術の競作」
と  き 2003年8月7日(木)〜27日(水)
会  場 ドイフォトギャラリー
〒100−0006 千代田区有楽町2−10−1 東京交通会館B1
Tel/Fax(03)5220-6620
〜入場無料〜 


■神原武昌(KAMBARA TAKEMASA) 【光と其の諧調の探究】

【略歴】
1938年京都生まれ。曽祖父の代からの写真マニアの血筋で、小学生時代からの写真道。甲南大学理学部応用物理学科卒。IBMを経て現在、ミニラボ、フィルムスキャナー用のフイルムの傷取り技術、ドライフイルムプロセスのアプライドサイエンスフィクションジャパン(株)の社長および神原知財ライセンス研究所の所長。日本写真会、日本写真学会、日本知的財産協会等に所属。
【それぞれの写真術】
撮影には、カラープリントフイルムとカラースライドフイルム、さらに黒白赤外フイルムを使用。プリントはカラー、黒白とも手焼き処理でアナログプリントの鹿致を求めました。
【テーマ解説】
75年の歴史を持つ日本写真会に長年属して会のテーゼであります「光と其譜調」をレンズを介していわゆる気持ちのいい写真に凝固させる努力をしてまいりました。ほんのりと気持ちのいい写真、とんでもない瞬間を捉えて痛快千万な気持ちのいい写真がありますが、今回の作品は前者でしょうか。

■市川泰憲(ICHIKAWA YASUNORI) 【窓の向こうに】

【略歴】
1947年東京生まれ。中学・高校・大学と写真部に所属し、卒業以来カメラ雑誌編集一筋。月刊「写真工業」編集長、日本写真協会、日本写真芸術学会、日本カイトフォトグラフィー協会会員。
【それぞれの写真術】
撮影はカラースライドフイルムを使用し、フィルムスキャナーでデジタイズした後に、特殊面状インクジェットペーパーに出力。インクジェットを銀塩カラープリントの代替としてではなく、新しいプリント表現技術としてチャレンジしました。
【テーマ解説】
カメラを肩に旅に出るとさまざまな光景に出会う。ここ数年、撮影テーマはとくに決めていないが、仕上がったフイルムをながめていたときに、ひとつの共通点が見えてきた。"窓の向こうに"、その土地の風土と歴史、そしてそれに向き合う自分がいた。

■小野隆彦(ONO TAKAHIKO) 【五島列島の教会−隠れたフランス文化遺産−】

【略歴】
1951年横浜生まれ。中学生からカメラを趣味にする。芸術家を対象としたステージ写真で個展を3回開催。日本写真協会、日本写真芸術学会、三田写真会会員、早稲田大学客員数授。工学博士。
【それぞれの写真術】
撮影はライカ判C-MOSイメージャーをもつ最新型デジタル一眼レフカメラ。プリントには大型デジタルプリンターを駆使して、銀塩カラーペ−パーに出力。1100万画素越のデジタルカメラはどこまで大伸ばしできるか挑戦します。
【テーマ解説】
五島列島は40あまりの小さな教会が点在するカソリックの里である。その教会のほとんどがフランス人神父の指導で作られた。いわばフランス文化遺産であることはあまり知られていない。五島列島の信者たちによって美しく保たれた教会の姿を紹介する。

■中島正己(NAKAJIMA MASAMI) 【針穴の風景】

【略歴】
1956年千葉県生まれ。学生時代からモノクロ写真を中心に30年以上活動してきた。1999年、ピンホール写真に出会い、以降ピンホールカメラの作製と作品づくりに取り組んでいる。
【それぞれの写真術】
撮影は手作りの8x10インチ判ピンホーノレカメラ8x10インチ黒白ネガフィルムで撮影し、作品は写真の原点といえる密着プリントですべてお見せします。
【テーマ解説】
針穴(ピンホール)を通った光のうち、ゆったりとした時間を持つものだけがフイルム上にその痕跡を残す。ふだん見なれた風景も針穴を通すことで、存在感のあるものがより鮮明に浮かび上がり、まったく異なった印象のものになる。瞬間を切り取るのではなく、時間を蓄積することでひとつの風景が完成する。モノクロームのやわらかな質感と心の中に広がる無限の色彩は、見るものにひとときのやすらぎを与える。












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