結  論


この検証では8×10inchのフィルム焦点距離90mmの一点についてしか行っていないので、これから得られることは少ないが、次の2点が挙げられる。


解像度について

1. 牧野氏の関係式で赤と緑の波長の平均値で計算した値が最適孔径と考えることができる。

2. 許容範囲として、この場合+-0.06mmとすることができる。


光の状態について

晴天時のようなコントラストの強い光の下での撮影は、画質に大きく影響する





まとめ(検証した結果から論理的に推測したものです)


ピンホール最適孔径には許容範囲を考えることができるが、8×10inchのフィルムで0.06mmということは、35mmフィルムを使用した場合には、フィルムの大きさから考えると0.01mmm以下の精度を必要とする。つまり、フィルムの大きさが大きいほうがピンホールの精度が多少悪くても画質に影響が少ない。


ピンホール孔径と解像度についてまとめてみると
1. ピンホールカメラの解像度は、ピンホールの大きさに左右される。
2. 同じ画角を得るためにはフィルムが小さいほど焦点距離が短くなる。
3. 焦点距離が短くなると最適孔径が小さくなる。
4. ピンホール孔径が小さいほど解像度が良くなる。
これらのことを考えて、各種フィルムについて検討してみると下表のようになる。もちろん、感光体の粒状性については考慮していない。


画角を同じにした場合

フィルム 画角 焦点距離 フィルム長 最適孔径 解像度比 画質
a b 1/b a*1/b
8×10inchフィルム 121° 90mm 254mm 7 0.34mm 2.8 0.36 2.5
4×5inchフィルム 119° 45mm 127mm 3.5 0.24mm 2 0.50 1.8
ブローニーフィルム(6×7) 120° 26mm 70mm 1.9 0.18mm 1.5 0.67 1.3
35mmフィルム 118° 12mm 36mm 1 0.12mm 1 1 1



焦点距離を同じにした場合

フィルム 画角 焦点距離 フィルム長 最適孔径 解像度比 画質
8×10inchフィルム 121° 90mm 254mm 7 0.34mm 1 1 7
4×5inchフィルム 84° 90mm 127mm 3.5 0.34mm 1 1 3.5
ブローニーフィルム(6×7) 53° 90mm 70mm 1.9 0.34mm 1 1 1.9
35mmフィルム 27° 90mm 36mm 1 0.34mm 1 1 1