ハリアナ写真の「周辺光量の低下」


普通のカメラでは、画面全体を鮮明に写すことを前提としているので、周辺の光量が落ちないようにレンズを設計したり、フィルターを使って中央部の光量を落とすことで光量の平均化を行っている。クラッシクカメラの中にはレンズの中心部に光を遮るための風車がついているものもある。

ハリアナ写真では、この周辺光量の低下も1つの表現(効果)として活用したい。

周辺光量の低下の原因には、次のことが考えられる。

1 入射光の形状 ハリアナ(形状:円形)を通過した入射光は、中央部では円形をしているが、周辺になるに従い扁平し光量が低下する。


2 感光媒体(印画紙・フィルム)が平面の場合、周囲の方がハリアナからの距離が長くなるため光量が低下する。


3 ハリアナ素材の厚み ハリアナを作製する素材が厚いと入射光の一部がカットされ光量が低下する。


原因の1と2は簡単には解決できるものではありません。また、これは焦点距離が短くなる(広角)ほど顕著に現れます。3番のハリアナの素材の厚さは簡単に変えることができますので、その影響について考えたいと思う。


周辺光量の低下を軽減したい場合には、ハリアナを作る素材を極力薄くする必要がある。もちろん周辺光量を低下させたい場合は、その逆を行えばよい。

よく使われるハリアナの素材としては、次のものが挙げられる。

1.身近にある素材    アルミ缶(約0.15mm)
                アルミ箔(0.012〜0.015mm:製品に表示)

2.市販されている素材  銅箔(0.01、0.03、0.05、0.08、0. 10mm)
                 真鍮箔(0.01、0.03、0.05、0.08、0.10mm)


アルミ缶はある程度の厚さがあるので孔を開けてからヤスリがけをして薄くするのが通例だが、その厚さを測ることはまず出来ない。

アルミ箔は、どの家庭にもあり安価であるが、素材のアルミ自体やわらかく作業がしにくい。バリを除去するためのヤスリがけはむずかしい。

銅箔は0.01mmの厚さのものでもある程度の硬さがあり、ヤスリがけは可能である。

真鍮箔は使用したことがないが、銅箔より更に硬いと想像できる。

薄い素材(アルミ箔、銅箔)に穴を開ける方法はこちらをご覧頂きたい。


使用機材 4×5インチカットフィルム、焦点距離50mm、ピンホール直径0.24mm、画角114度(対角線)、ハリアナは、左から銅箔:0.01mm、0.05mm、0.10mm を使用した。


極力素材を薄くするといっても、焦点距離をどこまでも短く出来るかというと、やはり限界がある。経験上、画角が120度(対角線)を超えると、上記1、2の影響が非常に大きくなる。また、写し出された像が流れるようになる。


また、周辺光量の低下を防ぐ方法として、次の方法も挙げられる。

1.撮影時に中央部の光量を調節する。

撮影時に覆い撮影(造語)を行う。

2.暗室作業(プリント)において、覆い焼きを行う。

このカメラのテスト撮影をご覧頂きたい。



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